エモこそすべて

きまぐれ書き付け

サービスデザイナーが現場を宗教を倫理を語らう年末

今日はamuで開催されたRMIT 赤間先生と語り合う会にお邪魔しました。

ゆるく少人数で語り合う場で、赤間先生の「自分たちが何をしているのか?サービスデザインを実証するものが少ないよね。」という投げかけを皮切りに神経が伸びるようなイメージで話のノードが結ばれていき、宗教や哲学の話題にまで広がっていきました。

スケッチノートはこちら

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※だいぶペン先がじゃみっていて、拡大しても読みづらい気が。不明点お答えしますのでコメントでもなんでもどうぞ。

 

印象深いトピック

目に見えないものをデザインするのがサービスデザイン

成果として定量的ではないものに対して、どうコミットしていくのかという話題では、「事業やプロジェクトの成果というとKPIなどがあるけれど、サービスデザインの場合そこに最初から◯億!とコミットするものでもないし、すると言い切ってしまったらそれは詐欺じゃない?」というコメントも。

数値的なコミットができないわけではないし、小さく効果検証を繰り返すことで成果として見えやすくなるものも(プロジェクトによっては)ある。
ただ、現時点では考え方やマインドセットの変革を起こして、残してゆくというコミットの形が主流に見受けられました。

個人的に実地の場で痛感したのは、サービスデザインの手法を取り入れて動き始めた組織は、もうそれを知らなかった頃の感覚には戻りにくいという点。後からどんどんじわじわと長時間を掛けて効果が浸透&発展していくので、気付いたらもうまっさらには戻れない。

それが文化の種まきであり醸成で、これができていよいよ本来のスタートラインですね。

「研究が弱い」問題

個人的にズドーンと刺さったのはこのトピック。
メルボルンでも学生や事業でのサービスデザインにおいて研究が不足してると感じられるのはちょっとビックリしました。

エスノグラフィやリサーチを繰り返して研究する中で発見や新たな手法、考え方や事例が生まれるものの、その研究が弱く、学生にはそこから教えているとのこと。

「自分がどんな価値観を持って、どういう考えをしているか?」という内省であったり、実践を見据えて考え続けることの不足はドンピシャで当てはまる部分でもあります。

サービスデザインの倫理・哲学

実際のプロジェクトのトピックでは、リサーチや検証をしていくと社会を変えるようなワクワクするものもある反面、残念な状態(ポジティブではない)だけど儲かってしまうようなものもある、というケースをうかがいました。

この正負の方向性すらコントロールできてしまうのがデザイナーでもあるので、デザインにおける倫理観は無視できない状況が既に来ています。

教育上の倫理というと人権的なものなど保守的なものもあるけれど、サービスデザインにおいては前提として犯していけない領域がある点を理解した上で「自分が何をしているのかを自らに問いながら」他者の権利などとの関係性を考えるのが倫理かもしれません。

文化の差を越えて発信する必要性

サービスデザインとしてメソドロジーが生まれ、伝わる源が英語圏にある。
異なる部分が大きいため英語圏内では現状や事例も知られやすく発信されているが、アジア圏や日本の事例はなかなか伝わらない。
まして言語・文化など様々な背景が異なる中では伝えようにも、思うように伝わらない状況もあるけれど、わたしたちは恐れずに表に出していく必要がある。

 という話題にとても引っ張られるものがありました。

いわば輸入されたメソッドを、無理やり日本に当てはめる必要はないし、当てはまるものでもない。だけどともすればメソッドだけが独り歩きしてそこに嵌めよう、嵌まろうとしがちでもある。

横文字の受け売りで浸透しないものは多々あるのはそういう側面があると感じます。

関係性や文化、言葉、知識の差はあったとしても、それを乗り越えて発信をしないことには、あらゆる背景を無視して妙に普遍化しようとされてしまうこともあり得る。

発信については富田先生が「宗教をベースにした伝え方(伝わり方)」のトピックが面白かったです!例として上がったのがこの3つ。

発表は論文に限らず、こういうった様々な伝え方があると思うという点は、アカデミアに強くない人間には勇気が貰えました笑

おかげで私はこうして感想レベルでも発信しようと思えています。

この面白い機会を作ってくれた赤羽さん、様々な文化の線を行き交いながらの知見をお話して下さった赤間先生、この場にいるきっかけをくれた皆さん、どうもありがとうございました。

次は話せる実践知のお土産を背負っていきます!