猫との仮暮らしを始める記
ようやく保護猫をむかえるタイミングが来た
かねてから猫を飼いたいとは思っていて、去年秋にはペット可物件に引っ越した。他に優先させる条件を気にしないで決められる自由って素晴らしい。
猫をむかえるなら保護猫を、ということも随分前から決めていた。
地域猫は少なく、調べると近場の保護活動先ではコロナの影響もあって譲渡会開催が難しいようだった。重ねて一人住まいでのOKは得にくい団体が多い印象。
しばらく里親募集を見てなかったのに、ふと思い立って覗いたら、一人住まい可な猫たちがいた。
中でも目に止まったのは、この丸まった足先を持つ靴下を履いた猫。
よく無事でしたね
仔猫期に事故でケガをしているところを保護された猫だった。左前肢の粉砕骨折。整復手術は行われたものの、肘から先には麻痺がある。とはいえ今となっては麻痺してることも、本人は当然のものとして過ごしているので遊ぶときもシュッと左手を繰り出す。見事なもんです。
退院後は保護主さんのところで先住の老犬とのびのび暮らしていたそう。反面、他の猫と育ってない&仔猫期に身につける力加減が備わってない(仔猫期に育成される社会性が乏しい)ということで、噛む力がだんだん強くなるらしい。
幼少期に同年代と育む社会性が欠けている……どっかで覚えがある話ですわ。
お見合い、いらっしゃいませ
里親へのステップとして、まずお見合いということでやってきました。既にドアの向こうでヴミャーヴミャーと野太い鳴き声を上げていた。キャリーがイヤらしい。
保護主さんと話している間も「出せ!」アピールが強く、「家は全然構わないし、自由に見てもらえるようにしているのでどうぞー」と出してみると、速攻でソファの下に駆け出していった。
好奇心バリバリの元気な猫。
歩き方の特徴についても保護主さんから説明を受けた。左前肢の甲をスリスリするような歩き方をする。猫特有のテテテテテ……という感じではなく、スルリスルリとした歩き。でもダッシュする。器用だ。
ただ常に甲を擦るので、あまり放っておくと擦り傷ができてしまうかもしれない。(麻痺してるので感覚がないし)そこは注視しておきたいところ。先々固定手術もあるかもしれないけれど、そこは獣医さんとも相談しましょうということに。
きっと何かを招く左手なんだろう
しかしこの麻痺してる肢、随分と愛嬌のあるカタチになったもので。爪切りの話をしながら、麻痺した足先をふにふにとしていた。この部位も元気に育って欲しいな。
リビングをうろうろ、机にヒョコっと顔を乗せたり、本当に警戒心が無いというか、面白がりというか。
保護主さん曰く「猫らしい颯爽さがあんまり無いんですよ、運動能力がちょっと低いかも」と。でも4〜50cmぐらいはポンポン飛ぶので、上から潜るカタチのお手洗いも大丈夫らしい。颯爽さが無いとか言われてますが、何食わぬ顔。
というか、遊んでて思ったけど、この猫すっごく犬っぽい!!
猫の遊び方じゃない、嚼み方が子犬のそれ。(まだアマガミで済んだ)すばしっこそうに動くのも、なんかちょっとモソっとした感じがあって、じゃれて遊んでる犬みたいな猫。
保護主さんも「この猫は〜」って話すつもりが「犬」って言っちゃうぐらい犬らしい猫。一挙両得じゃないか。
そういえば、左手を挙げている招き猫は「人を招く」らしい。千客万来とな。ありがたいねぇ、お客さんぜひ呼んでいただきましょう。
書き残しておこうと思った、最初の気分
ものぐさが久々にブログかこうと思ったのも、なんっか今すごく不思議な気持ちなのです。
もっとこう「うわーかわいいー!!」みたいな感じになると思ってたんですよ。「ぎゃんかわやないか!うちの子になってくれ!!」みたいな超メロメロを想像してたんです。
が。
本人(猫)と対面したら、「おぉ、よう来はったね」みたいな感じで。
可愛いは可愛い。そりゃあもう可愛い。でもなんだか愛玩する対象に見えない。「君は君でゴキゲンで過ごしとってね、私も私でゴキゲンに過ごすから」という、頼もしく自立した感じの若人を前にした感じ。(ある意味ヒモだ)
保護主さんには、保護猫をむかえるにあたっての気持ちというか、経緯も話をした。
コロナ禍による自粛で一人でいる生活が辛いという人もいる中、全然平気で暮らしていること。
ただ、自分の生活を構う関心が激減してしまったこと。例えば、必要なオンライン会議やイベント、外出に備えた身繕いはするものの、「うっかり食べなさすぎる」話をした。
人語を介さず、ままならない相手の健康管理を意識して生活をすることで、自分の生活を少しはマトモに維持することに繋がるんじゃないかと考えてる。なんてふざけたことを伝えた。
そんな経緯、怒られたらゴメンナサイと里親になることを諦めるつもりだった。
保護主さんがこのあたりよく理解して下さって、「自分のために頑張れなくても他者がいると違いますよ」と。ご自身の活動も新しい出会いや楽しさがあるから続けているとおっしゃっていた。自分が色々与えてもらっているとも。納得しかない。
「もうギリギリ仔猫な状態を終える頃になってしまって、仔猫っぽくないんですが大丈夫ですか?」
と言われたものの、そんなの全く考えてなかった。
そりゃあ仔猫は可愛い。でも、少し大人になっていたから迎えないという理由にはならない。
初めて猫をむかえるなら、急な病気、その病変の速さから仔猫にはかなり意識した飼育が必要なので、初めてにはちょうど良いかもしれないと言ってもらえた。
明日から仮同居開始。
さてどうなることやら。