目「非常にはっきりとわからない」で感覚を迷子にしてきた
会期終盤、駆け込みで千葉まで行ってきました。
じわじわ巻き起こる熱量の高い関心と、語らない感想の口伝
周囲では未見の人の関心が妙に高く。観に行った人は軒並み「やられた」「2019年1番の展示」という盛り上がり。
撮影OKだったチケット売り場周辺1Fフロアの写真を交えつつ、奥歯にものの挟まったような、曖昧な感想と感情だけを記しておきます。
何がはっきりとわからないのだ? と思いつつ。美術館の7,8Fで開催されているのでまずは8Fへ。
「はて、改修中?」とチケット購入の列に並びながら、マスカーで覆われた資材やらを眺めて上階へ向かう。
そこにも随所にめぐらされたマスカーやら設営資材のような数々。
したり顔を打ち砕く展示
※半ばネタバレを含みますが全バレでは無い、はず。
インスタレーション的に飾られたものを「ふむふむ」と眺めつつメモを取り始めた矢先に、展示品が入ったようなケースを移動させながら現れる「THEスタッフ」的な方々。
動きを見るに、彼らもまた展示の一部なのであろうと、これまた「ふむふむ、そういうことなのね」なんて思っていると。
展示空間が変わっていく。
壁面だと思っていたものは移動され、空間が開けて別の作品が現れ。
かと思えば、展示されていたはずのところが閉ざされ。
順路も変えられ。
「あれ、不思議のダンジョン的な趣向かしら?」と思いながら別フロアへ移動し平行世界に迷い込んだような驚愕を味わいました。
(濁してて何がなんやらだと思いますが)
これは未見の人には「いいから行って見て。行ってもらわないことには何も言えないけど、いいから行って。」としか言えないはずだわ。
2フロアを往復している間に、自分がどこにいるのかわからなくなり。
何を持って展示を見たといえるのか。何を以てわかったと思うのか。美術展を見る体験とは一体何なのか。そんな感覚の迷子に陥り、うろつくこと2時間強。
感覚が迷子になりすぎて、気持ちのラビリンスから抜けられなくなりそうでした。
感覚を存在を疑い、自分の置かれた状況に気付く若干のホラーさ
自分の中にある「既知」を覆され、移動する背後から若干悲鳴めいた声を聞きつつ。一体私は何を見ているのか? ぐるぐる考えながら途方に暮れる展示は初めてで。
2フロアを行き来する途中気付いたのは、自分がどこにいるのか? 巧妙に分からない仕掛けがなされていること。
一瞬心の中で悲鳴が上がりました。
観に行ったという人と、意見交換をして。どう捉えたかを交換するも尽きず。ついには未見の人たちにまでその不可思議さが伝わり、見てないけど知りたい!という熱が高まる、そんな静かながら卓越した計算に基づく展示でした。
目の方々にももちろん。これを企画し、組み上げて、突きつけてきたキュレーションにも平伏さん勢い。
図録を囲んでの謎会開催企画へ
あまりにも周辺の熱量が高く。ついには未見の友人と、鑑賞済みの私とで「図録が届いたら、読み解きつつふりかえり、未見者/鑑賞者を集めて解釈の広げ合いをしよう」という企画が持ち上がりました。(もちろん非公式)
ティザームービーにあったキーワードが肝だと、更に解釈を広げつつ。
こういった事後の省察&解釈の海に全員でハマりにいくのは、新しい鑑賞かもしれなくてワクワクします。
謎会、関心あらばご連絡下さい。