エモこそすべて

きまぐれ書き付け

SD Drinks #6「DESIGN IN GOVERMENTS」SketchReport

2018年8月1日@wework SD Drinks#6のスケッチノート。

残念ながら台湾&ロンドンの事例は現地からの英語によるセッションだったため、枝葉のキャッチが非常に乏しい。乏しいものの、現在の生の取り組みを知るには必要なところは抑えられたのではないか。そうであって欲しい……!

当日参加された方々の補足がいただければありがたい。ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために方式で行きましょう。では、台湾の事例から。スケッチノートは台湾・ロンドン両方のケースを記しています。後半にCONCENT小山田さんからのセッションについても記しています。 

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a case in Taiwan

Sperker Info,

Shu-Yang Lin (台湾)
PDIS
re:architect /共同創設者
https://pdis.nat.gov.tw/

Fang-Jui Chang (台湾)
PDIS
サービスデザイナー / コンサルタント
https://pdis.nat.gov.tw/

 Session Title

 「Prototyping Future Democracy」
(未来の民主主義をプロトタイプする)

政府の中のPDIS

古い体質の納税の仕組みをどうにかしたい!という問題意識に始まり、市民、行政、デザイナー(専門家)が共創的に関わり合い、ワークショップを重ねた。
この取り組みの重要なところは「すべてのステークホルダーを集めてワークショップをする」という点。
どの立場にいる人達も、コミットメントを持って参加した。(課題意識がそれぞれに高いという点もある)
行政のWebについてもこのクリエイティブで開かれた取り組みの形から、新しい提案デザインが作られた。

台湾での市民参加型行政

台湾ではCivic Tech(※)から立ち上がった「GOV(ガブゼロ)」という活動もあり、市民とともに変革していくプロセスをすべて公開し、オープンにコラボレーションしている。常に対話を繰り返し、繰り返し、共に街を、仕組みを作り上げている。
※民間の持つテクノロジーや専門性を地域の課題解決に活かすコミュニティ

今は国民全員でPolicyを作ろうというところに来ている。

a case of UK

Sperker Info,

Magda Rok(イギリス)
国際貿易省
シニアサービスデザイナー / デザインリサーチャー
https://www.gov.uk/government/organisations/department-for-international-trade

 Session Title

「Our Story + Mapping Complex Experiences」
(絡み合った個々の経験を、みんなの物語に)

ジャーニーは青虫のように、ゆっくりゆっくりと育っていく。

Magdaが所属しているTrade Design Labでは様々なリサーチなどの手法を駆使してワークショップを行っている。調査に対してはとにかく「何が(ユーザの妨げの)引き金になってる?」「何が悩みになってる?」と、課題解決を性急に求める集中砲火を浴びがち。

「でも私たちは、個々に答えるのではなく、ユーザの物語を聞いて欲しい!」

取り組みの一例

週に3~4人、1~2時間の長居インタビューを繰り返し、数十のユーザの体験をジャーニーマップに。それを関係者で複合的に分類し、ひとつの統合されたモデルストーリーを作った。ここには悩みの種も、引き金となっている出来事もすべて埋められている。そして、これらを4mに及ぶマップにしている。
これを誰でも見える広い場所に掲示しておくことで、これに伴う会話が生まれた。
この会話や、フィードバックをmap上に貼り付けてもらい、どんどんMapを成長させている。
これは1つの調査結果ではあるが、そのままツールへと進化して誰もがプロジェクト内で使えるものになった。

Q&A

Q:どうやって(何を以て)成果を測ってる?
A:このMapはあくまでも現実に起こっていることを図式化したもの。
 何度も何度も繰り返し使って改善をしていくうちに、関わり合う人が増えてくる。こういった参与を一つの成果として捉えている。 

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a case of Japan

Sperker Info,

小山田 那由多 氏
CONCENT
サービスデザイナー/アートディレクター

Design in Japanese Goverment

ケースのひとつとして、千葉県いすみ市での取り組みを紹介。行政、町おこし協力隊との共創でサービスエコロジーマップで課題発見に至るまでを伴走。
日本においては世情の悪化や、高齢化、様々な格差など極端に社会が不安定化している背景から、近年サービスデザインが必要とされはじめている。

日本でのサービスデザインの推進はどのような状況にあるか

昨年「デジタルガバメント推進方針」において「サービスデザイン思考に基づく業務改革(BPR)の推進」や、サービスデザイン実践ガイドブックβなど、効率化としてのサービスデザイン推進は為されているため、導入は進んでいるという考え。

6月にミラノで開催されたサービスデザインのアカデミアなカンファレンス「ServDes.2018」において紹介されたサービスデザインの横断的な取り組みのフレームワークが機能的。CONCENTの中でも、段階的にサービスデザインを導入していくためのモデルを用意している。段階には都度重なり合う部分があり、第して「玉すだれモデル」。このセンス、好き。

HCDの考えを知っている人は会場内には多いと思うが、中心たるユーザを知る上での「理解」「共感」そしてそれらの「見える化」は基本であり必要。これについても啓蒙し続けている。

SDの導入において

概念・手法を体系化 → 研修プログラム化 → トレーニングを重ね → ナレッジ共有の仕組みを作る
この一連のサイクルを繰り返し、改善していく流れを採用している。

行政での導入における課題として下記が挙げられる
 ・どこがサービスデザイン導入のサポートや実施をやっているか?(を知られるようにする必要がある)
 ・ブツだけではないデザイン人材を取れるように、軸となるデザイン人材を採れるようにする必要がある
 ・継続的・反復的な開発プロセスの取り入れ
 ・ジョブローテーション

しかしながら、この導入には非常に時間がかかる。行政が変わるのを待ってられない!そんな小山田さんはSI-SIGで個人的に研究中。参加者募集中ー!

さて、私感

日本でのサービスデザイン導入状況については、一瞬「まじか」と思ったのです。その後に続く内容を聞いて、確かに導入が進んでいるというか進められている点については納得。ただしあくまでも効率化という文脈。サービスデザインのプロセスを経てじわじわ変革を起こしつつある物事もあれど、それが世に見える形になるまではもう少し時間が掛かりそう。もどかしーい。

確かに実務者としても、とれとれピチピチの現在進行系の事例は紹介しづらいしなー、いざサービスとして世に出ましたということでもない限りなかなか難しいよなーというのも理解できる。途中プロトタイプとして実証実験などを挟んだとしても、最終形態までは数年か掛かるものもあるしねぇ。

そんな一方、私たちの取り組みの中では地域デザイニングの経過である郡山の事例などは世に出せるようになりました。いえーい!何しろ地域に基盤がまだ無い状態からのチャレンジの第一章でした。

地域の皆さんの思い出や、馴染みある風景から見出された「しぶき氷」(猪苗代湖の水しぶきが凍ることで出来上がる偶発的な氷の彫像)は、地元の人でも見たことが無い人が多く。ゆえにまだあまり知られていないので来年の頭あたりは見に行くチャンスです。今、向こうでは第二章が動いています。

note.mu

この地域での試みも、共創的に取り組み、手早く実地検証に持っていくという流れは変わらず。地域の人たちと共に考え、共に見て歩いて、改めて考えて、絞り込んでいます。初手のプロトタイプとしては観光商品化を目指しているという流れは分かりやすいんじゃないかと。

サービスデザインの試みを取り入れようという流れはあれど、なかなか参考になるケースやサポートはまだ多くはないし、予算を割くための説得材料探しに苦慮しているのも垣間見える。なんとか様々に協力を経て、世に投げかけられるものを増やしたいです。